TALK TO ME

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TALK TO ME デザイナー・池邉祥子の言葉

その言葉を辿っていると、まるで彼女が作り出す衣服に袖を通し、その質感を肌で感じているかのようです。
展示会でお洋服と出会われる前に、ぜひご一読ください。

・質感について
いつからか分からないけれど、生地を追い求めるようになった。

生地の質感を捉えることは香りを嗅ぐ行為と似ている。これは何物にも代えがたい、
と感じた素材は手のひらと指先で触れた瞬間、脳の奥の方がきゅっと締まり、そして緩む感覚がある。
(ある種の快楽と快感にも近い)

それらは「記憶に残る」体感で、香りのようにふわっとしているがしっかりと私たちのなかに留まる。

・洋服の形と服作りのあり方について
産地をまわって生地をみて、素材を追い求めているが実はそれ以上に形を捉えることに多くの時間を要している。

デザインを生み出す方法はいくつかあるけれど、
一番楽しいのはそのデザインを美しく完成させるための構造を見つけ出した時。

ブランドの売り方も少し変わっていて、春夏秋冬では動かない。晴着とスタンダード、という着こなしで提案し
2~3年継続して発表し続ける商品もある。展示会は半分が旧作、半分が新作という感じだ。

ころころ変化させる過剰な制作体制を作っていない。その代わり1着にかける制作時間も長い。

ファッションとはいえない服作りの形かもしれないけれど、私にとっての制作と消費のバランスを考えた時、
自然とこういう構造にしたほうが良いものが出来るのではと思ったから。

でもそれも実験。実験しながら結果をみて、
微妙なところは精査して良くするため仮説を出して次に進めばいいなと思っている。

・60年前のテキスタイルの復刻について
着物の格子柄から着想を得て、当時は紳士服に仕立てていた。

まだ着物の文化が残る中で日本の格子柄とスーツの組み合わせはとてもモダンだったのではないだろうか。

この生地は3年前くらいに産地を回っていて出会った生地。何故かずっとこの生地を使ってみたいと思い、
今回はその念願が叶いブランドのために糸から復刻し織っていただいた。

糸は手紬の風合いを模した作りになっており、特殊な撚糸の技術で作り出している。

一見無地のように見えるけれど、光のニュアンスで見える格子柄が凛としている。

紳士服に使われていた生地で、女性が纏うには硬質な質感だがそれが今回の新作でどう着地しているか、
是非お袖を通して感じてみてほしい。

・シルクサテンについて
サテンは女性の肌そのもの。なめらかな質感は記憶に残る幸福感。

現代ではなかなか受け入られにくいサテンという素材だけど、
やっぱり女性を美しく見せる素材だと試着する女性たちの姿を見ていて確信する。

こんなに幸福感に満ちた素材はもっと多くの女性が着るべきだ、と。

今回使用した素材はシルクリネンのサテン生地。

マットな落ち着いた面と上品なあでやかさの2つの面を横断できる。

リバーシブルのサテンワンピースはシルクサテン側を裏面に肌で感じても、表に着ても。

オケージョンに合わせて自由に生きていくための1着。

纏った時の感覚と女性の身体を美しく見せるシルエットを是非ご体感下さい。

21枚の栓の皿

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21枚の栓の皿

作家 小倉広太郎さんがその背景をお話くださいました。

ちょうど1年前の木材の競り市で、1本の丸太を6枚の板に製材した栓の板に出会いました。

僕にとってはとても魅力的な木目で、きっとかなり競り合うと思いましたが、幸いな結果は僕1人のみ。
全て買い取ることができました。

その時は重すぎて持って帰れず、1カ月近く材木屋の土場で雨晒しになっていました。

材を引き取ってからしばらくは使わなかったのですが、とにかくリムのある皿が作りたくて仕方がなくなり、
昨年秋の個展の会期中にあの栓のお皿を作りました。

実際に切って使ってみると、その栓は1枚の板なのに場所によって様々な表情を見せてくれました。

送った21枚のものを見ても分かると思いますが、一枚一枚の色や木目、割れなど個性が際立っています。

それは材木屋の土場で1カ月雨晒しだったことも大いに関係があり、暖かい季節の雨で濡れて部分的に黴や菌が付き、
それが原因で変色したからです。

3月の展示会でもたくさんこの栓で作品を作りました。

この栓1つで世界観を作り出せたと思えるほど良いものでした。

その2つの展示会でもこのお皿は好評で、気がつくと6枚あった大きな板は残り1枚になっていました。

この最後の1枚は樹皮に近い部分で特に木目の良い板でした。

何を作ろうか逡巡していたところ、里依さんとまさくんがこの皿を見たい、と言ってくれました。

そして気に入ってくれたこともあり、今回の展示会であればこの1枚を全て使うにふさわしいと思い、作った次第です。

木を触っていると、その木は当然自分たちより長い生命を生きていたので、
否が応でも長い時間軸で物事を捉えるようになってきた、とふと思います。

小さな端材は少し残っていますが、1つの丸太全部を使わせてもらった木への感謝の気持ちがおおいに含まれた作品です。

皆さんに見ていただけるのが楽しみでなりません。

小倉 広太郎

EVENT2017/8

保存食ワークショップ vol.3 「ウスターソースと中濃ソース」

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今年も夏の終わりに樋口玲子さんによる保存食ワークショップを開催します。

トマトケチャップ、自家製ツナに続く3回目となる今回は、ウスターソースと中濃ソース。
2種類のソース作りをメインに、覚えておきたい常備菜あれこれを教わり、皆で料理し、一緒に食卓を囲みます。

デザートを含めた全てのレシピと2種類のソースのお土産付きと盛りだくさんの内容です。

参加ご希望の方はメールの件名を「保存食WS参加希望」として、お名前、ご住所、お電話番号を
記載の上お申し込みください。

受付は先着順で、定員になり次第締め切りとなりますので、ご了承ください。

お申し込みお待ちしております。←満席になりました。

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お申し込み先メールアドレス:info@ippo-plus.net
開催日時: 8月30日(水)10時~
開催場所:ippo plus  大阪府吹田市古江台1-7-4
料金:6,000円(税込)

EVENT2017/7

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「景譜とはなんですか?」と最近よく質問されます。

景譜とは造語で、楽譜や図譜があるように風景を譜(しる)すものをつくりたいと始めた試みです。

茶と菓子と空間から拡がる風景を。

毎回テーマを設け、季節感と共に寄り添いながら四つの風景をつくります。

今回は「ふるまい」。

暑い最中なので涼を感じられるしつらえに、立ち居振る舞いともてなしを茶と菓子で表し、
そしてある意味「見る」というふるまいを体験していただく空間も設けました。

夏の景譜「ふるまい」
茶・しつらえ ippoplus 守屋里依
菓子・御菓子丸 杉山早陽子
景ノ譜デザイン・空間・撮影 高橋真之

EVENT2017/5

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池邉祥子服飾研究室の既製服ライン「 TALK TO ME 」の展示会が無事終了いたしました。

お越しいただいたたくさんの皆様に感謝申し上げます。

二の腕は出せない…
デコルテを見せるのは恥ずかしい…
シャツをインするのはちょっと…

最初は試着を躊躇されていた女性たちも、
普段から体型を隠す着こなしをされてきた女性たちも、池邉さんのお洋服を纏った瞬間、
驚きと喜びの表情を浮かべながら鏡に映るうつくしい姿を見つめておられました。

女性の柔らかな身体のラインをどううつくしく見せられるか。

そのために女性の身体性をとことん追求し、
シンプルなようで数ミリ単位の調整を繰り返し作られたお洋服だからこそ、
一度纏うとその着心地の虜になってしまうのでしょう。

5日間を通して、たくさんの女性たちがご自身の新しい魅力と向き合う姿を目の当たりにし、
イヴ・サンローラン氏の言葉を思い浮かべていました。

Dressing is a way of life. 
服装は生き方である。

池邉さんのお洋服を身につけることで、これからの生き方が変わる方々もおられることでしょう。

女らしさとは、自分自身と向き合う力を軽やかにうつくしく体現することと言えるかもしれません。

池邉祥子さんはこれからも、『人間にとっての「幸福」を衣服という物作りで探求して』いかれます。
展示会は名古屋、大分へと巡回されますので、ぜひそちらへも。

オーダーいただいたお洋服がお手元に届くのは今秋になりますが、
お帰りの際の皆様のお顔は既に「晴れ着」を纏ったかのように艶やかでした。

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池邉祥子服飾研究室インタビュー「往復書簡」はこちらから。→往復書簡

往復書簡

プレス白シャツ12日

往復書簡 その一

祥子さま

祥子さんの洋服と初めて出会ったのは、ちょうど2年前の今頃でしたね。
2015年の2月の好日居。

引き戸を開けると立っていた、なんて美しいシャツを着ているんだろうと目を奪われた人が
その洋服を作った当人の池邉祥子さんでした。

そのシャツは私が思う「女性らしさ」の全ての要素が織り込まれているような佇まいでした。
凛としていながらたおやかで、上品でありながら活動的で、何よりもエレガントであることを忘れない。
この洋服のような存在になりたいと思いながら、今も纏っています。

池邉祥子服飾研究室の展示会を5月のippo plusで開けることになり、心はずっと踊っています。

その風景を見る前に、「池邉祥子と衣服」についてより深く知りたいと思い、
往復書簡というかたちで数回に渡り質問をさせてもらいたいと思います。

少女だった頃、あなたにとって洋服とはどんな存在でしたか?
大人の女性になってからと、服飾デザイナーになってからは、その存在は変わりましたか?
既製服ラインを、「TALK TO ME」と名付けていることと関係ありますか?

今夜はこの辺で。
次に会う時には美味しい紅茶とチョコレートを添えますね。


 
往復書簡 その一 返信

守屋さん

往復書簡、一通目ありがとうございます。
守屋さんとの好日居玄関先での出会いは私も不思議とよく覚えています。
あのシャツをこんな風に記していただき本当に嬉しいです。

> 少女だった頃、あなたにとって洋服とはどんな存在でしたか?
> 大人の女性になってからと、服飾デザイナーになってからは、その存在は変わりましたか?

少女だった頃から現在に至るまで、私にとっての洋服の存在、衣服との関わり方は随分変化しました。
その変遷を少し長くなりますがお伝えします。

お洋服のデザイナーになろうと決めたのはとても早く、幼稚園年中さんの頃でした。

将来の夢を描く宿題が出され、私は「お姫さま」をせっせと描いていたのですが、不思議とドレスを描いている途中から
お姫さまになるよりそのお洋服を作る人になる方が楽しそうだ、と思ったのが今の職業を意識した一番古い記憶です。

幼い頃の私にとってお洋服はキラキラしていて少し夢見心地な世界、自分が服を着る時の感覚としてはまだ定まっていない
色んな自分を楽しんでいるようなところがあってお洋服を着るのも見るのもドキドキしていました。

高校生から20代半ばまではデザイナーズブランドを中心に色んな服を着ました。
この時期は今よりもずっと精神的に神経質な時期で、その纏い方は全て鎧のような着こなしだったように思います。

また衣服において、形、素材、思想とまだまだ定まらないことが多く
物作りにおいて実験をしている状態だったような気もします。

20代後半から、ブランドを始めてからはとてもリスペクトしている機屋さんに出会ったことと、
手紡ぎや手織りの生地に出会ったことは私にとって大きな出会いでした。

もともと学生時代から使いたい生地がないからといって自分でチェック柄を作ったり、素材から手を入れていたのですが
まさかここまで足を踏み入れるとは思っていませんでした。

引き寄せられるように素材を求めた始めたのは、例えばお部屋で香りを焚くのと同じように心地よい素材が肌に触れると
精神的にも身体的にも自分がどこまでも落ち着いたからです。また素材も重要ですが同じくらい形や纏う所作も大事です。

そういうものは総称して「美しさ」という言葉になり、私にとって美しさは絶対的な心地よさ(安心)であり、
そういうものを生み出したいと思っています。

今現在私にとっての洋服は人間を精神的・肉体的にも「抱きしめるような」美しく優しい存在になっています。
キラキラした時代から鎧になって、優しく美しいものへ、人生の変化とともに随分捉え方は変わりました。

———————————————————

> 既製服ラインを、「TALK TO ME」と名付けていることと関係ありますか?

既製服ラインを「TALK TO ME」と名付けたのは、私はある時期から人間の「幸福」というものにとても興味を
持っていたことにあります。

幸福になるためには何が必要かと考えたら大切なことは自分に嘘をつかず、向き合って納得のいく答えを出す姿勢だと思いました。
それができれば結果がどうあれ本人は幸福度が高いのではないか、と。とてもシンプルで当たり前のことではあります。
(しかし、それが結構難しい時もある)

自分と話す、という行為は「幸福への所作」でそういう生き方の一助になるような衣服を生み出したい、
という願いや祈りを込めて「TALK TO ME」というブランド名にしました。

私は洋服というのは人間を「抱きしめるような」美しく優しい存在である、
という風に書きましたがそれは幸福感ともイコールかな、と思いました。

人間にとっての「幸福」を衣服という物作りで探求しているのだと思います。


 
往復書簡 その二

祥子さん

祥子さんにとっての洋服が、キラキラした夢見心地の世界から己を護る鎧のような着こなしになり、
そして美しく優しい存在にまで至る変遷は、女性の内面の変化(成長)と呼応しているように感じます。

幼稚園児の頃にはもう洋服のデザイナーになろうと決めていたことに驚きますが、その決意は揺らぐことはありませんでしたか?
例えば、やっぱりパン屋さんになりたいと思った時があったとか笑。

「私にとって美しさは絶対的な心地よさ(安心)」という美しさの捉え方はとても新鮮でした。
だから祥子さんが肌に心地よい生地をとことん追い求めるのかと納得もいきました。

「素材も重要ですが同じくらい形や纏う所作も大事です。」
このことについてもう少し詳しく知りたいです。

衣服にとって素材と形が重要だと考えるデザイナーはいますが、纏う所作が大事だと考える人はそういないと思うのですが。

最近「ふるまい」という言葉についてよく考えていて、祥子さんが「纏う所作が大事」と考えるのとリンクするような気がします。

「ふるまい」は人をもてなすことでもあれば、立ち居振る舞いという身のこなし方でもあるし、
所作や態度や姿勢、延いては「在り方」「生き方」を意味する美しい日本語だと思います。

衣服が人間の「ふるまい」を変えることは大いにありますよね。

「TALK TO ME」=「自分と話す」、つまりTalk to myself という意味合いですね。
その行為以外から人が幸福になる術は無いんじゃないかと感じます、経験上。

日頃からなにも難しいことやその役割を考えながら纏う訳ではないけれど、
洋服が自分の内面(精神性や感情)に与える影響が大きいことは誰しも感じていると思います。

今日の最後に、一つの質問を。

最近、何に心が震えましたか?


 
往復書簡 その二 返信

守屋さん

こんばんは。

所用で実家に戻る途中です。現在、福岡小倉です。
今回の質問にお答えします。

—————————–

>幼稚園児の頃にはもう洋服のデザイナーになろうと決めていたことに驚きますが、その決意は揺らぐことはありませんでしたか?

揺らいだことはありました。

学生時代に量産のお洋服の作られ方や消費サイクルといった側面を知ることになり、
その作られ方に対して不安や疑問の気持ちがありました。

ちょうどファストファッションが入り始めた時期で服を作るということに対して色んな疑問が私の中に渦巻いていました。
こんなにお洋服が溢れていて、私がデザインする意味はあるのか、と一時期洋服を作ることから離れ、
美術史などを学ぶ学術系の学部に入り直しました。

そこで哲学者の鷲田清一さんの「垂直のファッション、水平のファッション」という面白い論文を読んだことをきっかけに、
また徐々に制作に戻りながら論文も書くということをしていました。大学時代の調べたり論文を書いたりという
名残のresearch&collectという衣服の収集と保存のプロジェクトに生かされているように思います。

結局揺らいだ時期も論文は服飾のことだったり、どうあがいても衣服にまつわることになっているのですが。。

>最近、何に心がふるえましたか。

山で出会った景色や植物です。
2年前にある山に魅了されて、それからずっと恋したようにその山やまた他の山にも登りたいとうずうずしています。
この数年の出来事で1番の感動的な出会いでした。

あとはやはり生地です。最近手に取ったものだと、新米のように輝くシルクコットンと霧のような、
重さはゼロに等しくしかし手の平の温度がわずかに1度くらい上がるような奇跡のような生地。

圧倒的で想像や経験を超えたものに触れた時、心が震えます。


 
往復書簡 その三

守屋さん

こんばんは。途絶えていた往復書簡の続きです。

「纏う所作」について。

幼い時、出かける場所に応じて母がよく着替えをする人で、彼女がそういう人だったので私も同じように育ちました。
母の着替えを手伝うこともしばしばあり、ワンピースの後ろのファスナーを留めたり。

お洋服を着る所作がなんとなく美しくてエロティックなものだということを一番最初に認識した映像だったように思います。

そういった記憶があるので、纏う所作も美しい方が良いし、
また一枚一枚着ていくことで今日のあるべき姿、何者かになっていくような気もして、
ある種「儀式」のようにお洋服を纏う瞬間があるように思っています。

少し昔は地域のお祭りや季節の行事で晴れ着という概念が強かったですね。

今はそういった感覚も随分薄れています。アイテムによりますが、
現代人にとっての「ハレ」の感覚を着用の行為「纏う」過程で感じてもらえたら、、と思っています。

着用者への護符的な意味や1日を晴れかやに過ごすための「小さな儀式」という感覚で纏う所作を捉えています。


 
往復書簡 その四

祥子さん

「人間にとっての「幸福」を衣服という物作りで探求している」道程で知り合うことができ、今回伝え手としても
関わることができることがとても嬉しいです。

初夏の緑輝くippo plusのアトリエで、たくさんの女性の幸福な姿を見られますように。

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二日間の大坊珈琲 at ippo plusが無事に終わりました。
沢山の方々に珈琲を飲んでいただくことができました。
お越しくださった皆様、本当にありがとうございました。

大坊勝次さんは、私が両親の次に敬愛する人物です。
二日間その方のお手伝いができたことは、一生の宝物になりました。

大坊さんが静かに丁寧に珈琲を淹れる。
ふっと力を抜き、顔を上げ、私に優しく微笑み「できました」の合図。
私は軽く頷き、珈琲をお客様へ。
その緊張と緩和の繰り返し。
うつくしく、幸せな振る舞い。

そして、大坊さんがつくる珈琲はやっぱりたまらなく美味しいということを改めて感じました。

寡黙に珈琲を淹れる大坊さんは、それ以外の時はたくさんお話してくださいます。
そして必ず真っ直ぐ目を見て、あなたどう思う?と問われます。
余韻について、味覚について、儚さについて、詩について、夢について…。

「岩手の田舎で育ってね、幼い頃の夢は、日曜日の朝にトーストにバターをぬってコーヒーと食べることだったねー。
それが今もそんなに変わってない。小さな夢でしょ?でもそれでいいかな、って思ってます。」と笑われます。

その側で奥様が、「私の夢はね、夫婦でゆっくりお茶を飲む時間が取れること。
若くに結婚してずっとお金が無くて、それから店の営業が忙しくって。
でもその夢は叶いましたね。」と静かに微笑まれます。

二日間で200杯の珈琲を淹れ、お疲れのはずなのに、
軽やかな足取りで「また珈琲を飲みに来てください。待ってますよ。」と帰って行かれました。

かつて東京の南青山に、大坊珈琲店がありました。

美味しい珈琲が飲める喫茶店でした。

event2017/1

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旧正月の一月二八日、無由も新しい日を迎えました。

「景譜 その一 唯々」無事終了しました。

満たされた心地を言葉で伝えてくださる方、言葉にならないと溜め息をもらしてくださる方、
美しいと思わず呟いてくださる方、いつまでもこうしていたいと想ってくださった方…。

ご参加いただいた皆様、唯々ありがとうございました。

無由の始まりとして、茶と菓子から拡がる四つの冬の風景を、時間の移ろいと共に過ごしていただきました。
今日もどこかで白の余韻を感じてくださっていると幸いです。

次回は「景譜 その二 花ノ譜」を四月八日の花まつりの日に開く予定です。

春の風景を、御菓子丸 杉山早陽子と共に描きます。

ご興味がおありの方はカレンダーに、「景譜」と記してお待ちいただけると嬉しいです。

菓子| 御菓子丸 杉山早陽子
茶・しつらえ| ippoplus 守屋里依
景ノ譜デザイン・空間| 高橋真之

event2016/11

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お皿の上で自由に味を組み合わせ、指でこねて口へ運ぶ、スリランカ料理。

皆さんが楽しそうに美味しそうに手食される風景に、幸せな温度を感じました。

料理家の太田夏来さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

これからもここが、色々な食卓風景が生まれる場所でありますように。

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小山剛 作品展 -木から始まるなにか-

無事に終了しました。

晴れの朝も曇りの午後も雨の夕方も、初夏のひかりに包まれたこの空間に、作品は静かに佇んでいました。

作家が木と向き合い、木に向かう。
そのひたむきな姿は、静かな闘いのようにも思えます。

そうして生まれた、木から始まるなにかの美しさが多くの人々の心に届いた八日間でした。

お越しいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
作品が旅立つ為の準備をしていますので、お手元に届くまでもうしばらくお待ちください。

小山剛の作品に寄り添う美しいお菓子を作ってくださった麗しい三人の女性たちにも感謝の気持ちは言葉にできない程です。

一週目の御菓子 杉山早陽子さん。
二週目のカワタ製菓店 田村亜沙子さん。
三週目のuffu 井内麻友美さん。

それぞれギリギリまで何度も試作を重ね、作品展に恥ずかしくない仕事をしたいと。

その作り手としての姿勢と、出来上がったお菓子の美しさに感動しました。

お越しいただいた皆さまがお菓子を食べる幸せそうな表情が忘れられません。本当にありがとうございました。

この経験が、早陽子さん、亜沙子さん、麻友美さんにとってこれからの在り方に
少なからず影響を与えるものであって欲しいと願います。

これからも美しいお菓子で人を幸せにし続けてください。

「里依さんはみんなの人生を美しくしてくれますね。」

御菓子丸の早陽子さんがそう言ってくれました。

ippoplusの扉を開くことで、少しでも皆さんの日々を美しくできているとすれば、そんな嬉しいことはありません。

また美しい風景を作ります。
お楽しみになさっていてください。

もう一度。

美しいということは、
人を幸せにします。

最後に。

小山剛さん、本当にありがとう。